NoName

Open App

01.眠れないほど

 唐突に、眠れないほど、朝が恐くなってしまった時があった。
夜中、というのが正しいのか、早朝、というのが正しいの定かではない時間帯に私は静かに息を潜めていた。
二酸化炭素が濃くなった部屋の空気。
私は外の空気を吸おうと窓を開けた。
ツン、と鼻にくる冷たい空気。
微かに耳に届く犬の遠吠え。
遠慮気味に吹く風が耳を擽ぐる音。
その時間帯にしか味わえない自然が織りなす雑音を私は味わっていた。
しばらくするとある声が聞こえた。
フクロウの声だった。
田舎ではあってたくさんの自然動物がいる地域だったが、初めて聞いた声に私は喜びを覚えた
ホウ_ホウ_
静かな時間帯に響き渡る声に私は思わず呼応した。
ホウ、ホウ、
ホウ_ホウ__
あっちが鳴いて、私が真似をする。
そしてあっちは私の真似をする。
疑似的な動物との会話。
私は楽しかった。
眠れないほど恐い朝はいつの間にか来ていた。
でももう大丈夫な気もした。
窓を閉め、冷え切った部屋の毛布に包まり、30分だけの睡眠をした。

12/5/2022, 3:33:11 PM