no name_1103

Open App

#52 彼と、話して、病室にもきてくれる日々。

私の方が発作は多くて、点滴をすることが多かった。
毎日、治療は苦しくて、発作も辛い。こんな苦痛な毎日を頑張っているのに。なのに、こんなことをしても意味がない。
助かる可能性はほとんどないのだ。

何もかもが嫌になって、悲しくて、涙が溢れ出した。
ベットの中で、泣いた。

その時、病室のドアが開く。ガラガラと音を立てて開くため、泣いているのに誰かがきたことがわかってしまった。
必死に泣く声を殺して、息をひそめる。

息が苦しくなって、被っていた布団から顔を出すと、少し離れたドアの前に彼が立っていた。


驚きのあまり、再び布団をかぶって顔を隠したが、泣いているところを見られた恥ずかしさと、来てくれた嬉しさの葛藤が激しい。発作じゃない、心臓の音が自分にも聞こえてくる。

もっと、泣いてしまいそうになる。
私は、何をやっているのだろう、と。

その姿を見て、ただ彼は私のベットに近づき、
「……泣かないで」そう優しく言ったのだった。

_____泣かないで

11/30/2022, 12:56:17 PM