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テーマ:真夜中

ふと、目が覚めた。手元のスマホで時計を見ると、時刻は深夜2時を回っていた。いつもの部屋が闇と静寂に包まれいる。なんだか寂しくなってしまった私は、たまらず指輪をはめた。

目を開けると、手入れの行き届いたいつもの寝室。しかし、真夜中の屋敷はしん、と静まり返っていた。もうみんな寝ているだろうから起こすのも悪いと思い、そっと寝台に入る。自分以外にも誰かがいる空間、というだけでどこか寂しさが紛れるような気がした。

数分後、まだ寝付けずに布団の中で丸まっていると、コンコン、と控えめなノックの音が響いた。

「…? 誰かいるの?」

「あ、主様…。オレっす、アモンです。入っていいっすか?」

思いもよらぬ来訪に慌てて寝台から降り、ドアを開ける。

「どうぞ、入って入って。」

「ありがとうございます、失礼しますっす。」

アモンを部屋に招き入れ、椅子に座るよう促す。私もその隣の椅子に腰掛ける。

「こんな時間にどうしたの? もしかして、気配で起こしちゃった?」

「いえ…。なんか今日は眠れなくて起きてたんすけど、さっき急に主様が帰ってきたような気がして…それで様子を見に来たんす。」

それでわざわざ見に来てくれたのか、と心が温まると同時に少し申し訳ない気持ちになった。この屋敷は夜になるとかなり薄暗い。同じ階にあるとはいえ、ここまで来るのには相当怖かったのではないだろうか。この部屋も同じようなものだが、そんな中でも来てくれた彼に対し、少しでも安心して欲しいと思った。もちろん自分が寂しい気持ちもあったが。

「わざわざありがとう。あの、私も今日はなかなか眠れなくて…。ちょっとでいいから…、その、一緒に寝てくれない、かな…。」

「え!? それって、その…一緒に布団に入る、的な…ことっすか…!?」

「うん…だめ、かな…?」

「あ、や…、ん~…………わかったっす! 主様たってのお願いっすからね〜。主様ってば、甘えんぼさんっすね♪ じゃ、早速お布団入りましょ!」

迷いを見せたアモンに少し不安になったが、次の瞬間には私の肩を押して寝かしつけようとしてくるところを見ると、杞憂だったようだ。

こうして2人で布団に入って、身を寄せあった。心地よい温もりに包まれ、次第に眠りに落ちていく。この心地良さが人肌によるものなのか、彼だからなのかはまだ知らない。

翌朝、抱き合うような姿勢で目を覚まし、2人して赤面することになるのだった。

5/17/2024, 1:55:59 PM