「あ、そーや!海行こ!」
秋の後半
寒くなってきた頃に
私の元に1件のLINEが入った
どうやら親友からのLINEのようだ
なんでまたこんな時期に、
と思いつつも
私は彼女の誘いに乗ってしまう
約束の日
待ち合わせの場所に着くと
やけにそわそわしている彼女がいた
声をかけると彼女は私の方に駆け寄ってきた
2人で喋りながら海へ歩く
今日は風が強く、
とてもじゃないが
海日和とは言えない天気だった
海に着くと
彼女は靴を脱ぎ捨て
ぴちゃぴちゃと音を立てながら
海に入っていった。
彼女に呼ばれて海辺に行くと
海の水はとても冷たくて
慣れるのに時間がかかりそうだった
冷たいねと彼女の方を向くと
イタズラな笑みを浮かべた彼女が
私に水をかけた
「冷た!?」
不意に出た言葉に
彼女はくすくす笑いながらも
次から次へと水をかけてくる
やり返すと彼女はびっくりした顔をして
また水をかけてきた
赤とんぼが宙を舞う頃
彼女と私は砂浜で空を眺めていた
「久しぶりに子供みたいに遊んだかも」
そんな彼女の言葉に私は頷いた
海に空が反射して紅く染っている
「そろそろ帰る?」
私がそう言うと彼女は
私の家に泊まると言い出した
えーどうしよっかなーと言いながらも
私は母親に連絡を入れた
彼女のいる時間はとても心地よい
2人でいる時間だけは
子供のままでいいから。
10/13/2022, 1:32:08 PM