NoName

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手紙を書いた。
真っ白な、ごくごく平凡な便箋に。
何処の誰に届くかも分からない手紙を。届かないかもしれない手紙を。

ほんの些細な事。ただの気紛れ。

ペンを置き、封筒に入れる。

何時か何処かで見た。手紙を風船に付けて飛ばし、遠い国の誰かへと手紙を送る場面。
出来心で真似してみた。

案外簡単に浮かぶものだ。




遠くの空へと浮かんでいくそれを、ただただ黙って見送った。

4/12/2024, 1:28:48 PM