頭の中で警鈴が鳴る。
危険だ。それに、許されない。
だが、触れてくる手は驚くほど優しい。
満足そうに目を細め、いつもより熱を帯びたそれに、私だけが映る。
好きだ、とか愛してるだとか 甘い言葉なんて一つも口にしないけれど
ただ一言
耳元に熱い吐息と共に、低く囁くような声で
「俺の物になれ」と言われれば
全身に身体を溶かしてしまうほどの熱が走り、私の脳は簡単に爆ぜる。
最早、頭は何も機能せず、朦朧としたまま小さく頷けば
ついばむように優しく繰り返される口づけ
月の光が眩しい夜
私達は、微熱を分け合い暖めあった。
「微熱」
11/27/2021, 9:51:22 AM