NoName

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伝えたいコトは山ほどあるのに。
上手い言葉を探して見つからなくて。
口に出せず余計に相手を苛つかせてしまう。
そんな自分が大嫌いだ。

なのに、貴方は―――









「君が話すならどんなにゆっくりでも俺は待つよ。」









まるで陽だまりのような微笑みが胸を震わせる。

……あぁ、そうやってまた。私の心を囚えて離さないんだから。





(っ、ズルい人だな…)





やっぱり声に出せなくて。

埋めた広い肩に、ただ頭を擦り寄せた。

2/12/2024, 2:53:35 PM