ぺんぎん

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今すぐに此処から逃げ出したい 
とっくに朽ちていった淀んだ愛の住処
無理矢理目線をあわせようとぐいと顎を掴んだ
彼の指はこんなに細かったのか
きゅうと爪が食い込んで痛いな
くにゃりと足先がゆるゆるほどけてぷかぷか浮きあがっていく感覚
ぽたぽた彼から溢れ落ちたあまりにも美しい涙を
受け入れられずにいられなかったのだ
すとんと地面に穴が出来て、まっ逆さまに堕ちゆくような錯覚と
がらくたの寄せ集めみたいな欠如した愛を選んだのは私だ
とろけるような口づけと、べたり張り付いたTシャツ
曇天のそら、あつい吐息と果てていく

5/23/2022, 10:41:46 AM