生きる意味なんて何にもないんだよ。
隣で彼が言った。
なんでそんなこと言うの。
そんなの寂しいじゃん。
それでも生きる意味なんてないよ。
僕も何回も考えた。
でも何もなかった。
…
初めて出会ってから、
彼の目はいつもどこかうわの空で、
私はその一重の下に佇む
寂しげな黒い瞳に惹かれたんだっけ。
暗闇に慣れた視界の先で、
そんな彼の寂しげな横顔が虚空を見上げていた。
しばらくしてまた彼が口を開いた。
でも、
何にも生きる意味なんてないけど、
君と一緒にいれることだけは、
生きてて良かったって、
思える、気がするんだ、
暗闇の先を見上げる彼の、
涙が頬を伝うのがみえた。
そっか、。
そして、
私は腕につけていた
赤色のヘアゴムを
彼の小指に優しく巻いてやった。
6/30/2024, 12:14:43 PM