走り出したとき、もっともさびしかったのは、だれか追いかけてくれるひとがいるかもしれないと一瞬、ねがうように思ったことだった。吐く息がしろく存在し続けるようにその望みは胸に染み付いた。とろとろと街の灯がわたしの目に溶けだした。わたし以外のなにもかもがきらきらとひかっていた。
12/20/2023, 8:12:46 AM