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脳裏


靴を脱ぎ、コンクリートの冷えた廊下をぺたぺた音を立てながら、階段を勢いよく登る。忘れ物を取りに来た君と鉢合わせて教室で2人きり。緑の木々から夕日が差し込み、胸の鼓動が速くなった。

ドアのチャイムが鳴る。
怖くて、でも会いたくて、恥ずかしくて。
ドクンドクンとどうしようもないほど胸が鳴り、震える手を必死に抑え込んでドアを開けた。頬から耳へ、ジリジリと鉄板のような熱を感じる。君の足元と君の声。それだけ。本音と自信と弱さと怖さと、君への気持ちが強すぎて、頭がおかしくなったんだと思う。

外は、豪雨で、少し湿った封筒と、鉛筆で不器用に描かれて不安な君の文字。呆気なくて、でもこれで最後だと思った。

見慣れないスーツを着ている君が表れて、運命だと本気で思って、目が合って、分かった。

君が好きだ。

11/9/2023, 12:50:07 PM