柳絮

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花咲いて


現れ出たる妖精か。
「いや、何でだよ」
花壇の一番大きな蕾が綻んだと思ったら、中から妖精っぽいのが出てきた。
「ふわわわわ……うーん、よく寝たぁ」
「うわっしゃべった」
「うるさいなぁ。何この人間」
「それはこっちの台詞なんだけど」
「……えっ人間!? 見えてる? 聞こえてるの!?」
「さては寝ぼけてたな」
「何でアンタそんなに冷静なの!?」
一周回って落ち着いてきた。
「妖精って何食べるんだろ」
「飼おうとすんなぁ!」





友情


「そんなの信じて、バッカみたい」
嘲る台詞に反して、その子の瞳は揺れている。
「気味悪いのよ。へらへら笑って」
拳は雑巾を固く握り締めて震えている。
「お節介するからこうなるの。自業自得なんだから」
罵詈雑言だらけの机から顔を逸らす。自分は悪くないと言い聞かせるように。
「だから2度と近づかな、」
「ありがとう」
「は?」
「でも大丈夫だよ。私、麗が好きだもん」
「はあ!?」
「2人だから大丈夫! 私も雑巾持ってくるね」

7/25/2023, 3:25:11 PM