「どこまでも続く青い空」
今日、友が旅立つ。
船に乗り、生まれ育った島を出て都会に行くらしい。
何度か、行ったことはあるけれど。
息がしづらくて、とても苦しかったこと。
キラキラした町はとても綺麗だったこと。
それでも、やっぱり島に敵わないな、なんて思っていた。
友には、夢があるらしい。
それは、島では叶えられないものらしくて。
夢を応援したかった私は引き止めることも出来ず、ずるずると言えないまま、友が旅立つ日を迎えてしまった。
もうすぐ、会えなくなってしまう。
それがどうにも悲しくて、涙がこぼれそうになる。
でも、笑って見送って、って言われたから。
目尻に溜まる涙を拭き、船を見上げた。
ブォーーー
船の動き出す音がする。
友が、船からこちらを向いているのが見えた。
私は、深く、息を吸い込んだ。
「いつまでも、待ってるからっ!!
また、会おうね!!」
これで、聞こえただろうか。
ゆっくりと目を開け友を見上げると驚いた顔をしてこちらを見ているのが見えた。
そして優しく微笑み、こう言った。
「絶対、夢叶えてくるから!
それまで、待っててね!」
私は何度も頷きながら大きく手を振った。
船が見えなくなるまで、何度も、何度も。
船が水平線に消える。
どこまでも続く青い空は、静かに私たちを包み込んでいた。
10/24/2023, 9:13:03 AM