海月

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#66【私の日記帳】


小学校に入学してしばらくした頃
母と交換日記をしていた。

学校から帰るなり
「今日はどうだった?」と聞いてくる母に
最初はあれこれと話をしていたのだが
毎日聞いてくるものだから
だんだん面倒になって
「昨日と同じ」としか言わなくなったのを
心配した母が始めたのだ。

交換日記と言えばかわいく聞こえるが
要は日誌みたいなものだ。
1日の出来事や思ったこと、感じたことを
ノートに書いて渡すと
母からコメントが返ってくるシステム。

母からしてみたら
子どもの学校での様子を知りたいのかもしれないが
こっちからしてみたら
「しまった。余計に面倒なことになった」としか
思わない展開。

伝えたくなるような出来事なんか
毎日起こらない。
何を書けばいいのか悩んだ末
私は作り話を書き始めた。

遊んでもいない友達の名前を登場させて
やってもいない遊びについて書き始めたのだ。
書きながら思う。

直接話した方が楽だった!
日記めんどくさい!
嘘も尽きてきた!
どうにかして、日記をやめたい!

それから徐々に
直接口頭で報告をするスタイルに切り替え
なんとか交換日記を終了することに成功した。

手元に残った嘘の毎日。

次はもっと楽しい交換日記を友達としてみたい。
嘘のない等身大の自分で書き込みたい。

それが叶うのは3年後のこと。

8/27/2023, 12:23:55 AM