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君と最後に会ったのは卒業式も終わり、大学のある東京の、1人暮らしのアパートに僕が旅立つ日だった。

僕は遠距離恋愛をする自信がなかった。
スマホでいくらでも連絡はとり続けられるとわかっていても。
僕の性格上、それぞれの大学でそれぞれ新しい生活や友達ができれば、忙しさにかまけてないがしろにするに決まっている。
都合のいいフェイドアウトは彼女に失礼だと思った。だから別れを告げた。
彼女は「そう言われると思ってた」とだけ答えた。
僕から告げたのに、何故か僕が振られた気分だった。


東京にきて3ヶ月。
都会のスピード感について行くのがやっとだが、大学での生活にも慣れた。
新しい友達も出来た。
君はそちらの大学生活には慣れたかい?
新しい友人は?
…新しい出会いもあったのだろうか。
僕が大好きだった女の子。
今も大好きな女の子。

たったの1度も、彼女からの電話もメールもラインもない。もちろん僕からもしていない。でも着信音がなると期待してしまう自分がいる。
どうやら僕は自分の決断を後悔しているみたいだ。


お題「君と最後に会った日」

6/27/2024, 4:11:09 AM