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#相合傘


学校の授業が終わったので

家に帰ろうと正面玄関を出た時、

雨が降っている事に気がついた。

「どうしたの?」

声を掛けられ、後ろを振り向くと

片思いの相手がいて。

『え、あ、傘、忘れちゃって』

好きな人を前に緊張しオドオドする私。

「あー、じゃあ、送って行こうか?俺傘あるし」

『え、いいの!?』

「ん、入りなよ」

好きな人との帰り道。

いつも通っているはずの道が違う世界に見えて。

好きな人と相合傘をするなんて夢のまた夢で、

もしかしたらこれ夢なんじゃない?と頭の中で考える。

「じゃあ、また明日ね」

『あっ、うん!』

気づいたら家についていた。

好きな人と過ごす時間はあっという間で名残惜しいな。

そんな事を考えながら、家のドアを開けようとした時

視界の端で見えた好きな人は肩が濡れていた。

どこかで聞いた事がある。

[相合傘をした時、濡れている方が惚れている]

……まさかね、気使ってくれただけだって。誰にでも優しいし。

ただそういう言葉があるだけで、本当にそうなのかなんて分からないんだから。

自分の中でそう思いながら家の中に入った。

スクールバッグの中に入っている折り畳み傘に

知らないフリをしている私はとっくに彼に惚れ込んでいるのだろう。



「っあー……緊張した……俺変な事言わなかったかな…」


私を家に送ってくれた後、こんな事を呟いている彼の思いを知るのはまた別の話。

6/19/2024, 3:11:36 PM