きまぐれ

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「このクリスタルめっちゃ綺麗だな」
とある冒険家がある洞窟で偶然、光輝く結晶を見つけた。
「これは換金所で良い値になるんじゃないか」
そう思った彼は軽快な足取りで換金所に向かった。

チャリン―

「いらっしゃい」
店のドアを開けると白い髭をたくわえた老年の鑑定士が待ち構えていた。冒険家は懐からクリスタルを取り出し、鑑定士に見せた。
「どうだ。これはだいぶ良い値になると思うが、見てみてくれ!」
「わかったよ」
彼は腕を組みながら、自信ありげに鑑定を待っていた。
「結果がでたよ」
「おぉ、待ってました!」
「結果は…」
「結果は…!」
彼の期待は最高潮に達していた。
「残念だけど、鑑定不可能だ」
「えー!、なんでだよ!」
「このクリスタルが今までに鑑定に出されたことがないからだ」
「というと?」
「つまり新種かもしれんということだよ!」
鑑定士は驚きを隠さず伝えた。
「まじか!すごいじゃん!じゃあ、もっと価値があるんじゃあないのか!?」
彼は興奮を隠せないでいる。
「そうかもしれないな。」
「じゃあ、どうすれば良いんだ?」
「こっちに一旦あずけて貰えれば、新種かどうか確かめられるとこに頼めるよ」
鑑定士はまかせてと言わんばかりに、彼を見ながら言う。
「そうかじゃあ、まかせるわ」
「わかったよ」
「いつぐらいにわかる?」
「そうだね、1週間くらい待ってくれ」
「わかった。そしたら、また来るわ」
と言い彼は店をあとにした。

〜1週間後〜

冒険家はクリスタルがどうだったか聞こうと、あの換金所を訪れようとした。しかし、彼がその場所に訪れるとそこは空き地になっていた。
「どういうことだ!?」
お店の姿はそこになかった。
「なんでだ?なんでだ?俺のクリスタルは…?」



「しかし、このクリスタルは綺麗だな。だけど、あの冒険家もこのクリスタルに劣らないくらいに綺麗だったな。ハハハハハハ」
そういう鑑定士からは笑いが溢れていた。  

                  クリスタル


7/2/2025, 2:14:57 PM