序章
「お前なんか!お前なんか!」
『っう…痛いよォ』
私のお母さんは逮捕された。
私を虐待したから。
お母さんがいなくなると家は静寂に包まれた。
ずっと殴られることが普通だと思っていた私はこんなに静かなのに落ち着かなくて、
お母さんに会いたくなって、また騒がしく怒鳴って欲しくて今まで殴られていたことも快楽に感じられた。
いつものように私を愛して。
殴って切って叩いて放り出して怒鳴って泣いて
いつも私の耳がキンキンするほどに。まだ足りない。
体にアザができてもいい。死んでもいい。またあの快楽を…
パサ…
友達から借りた小説『快堕』私にはよく分からなくて最初らへんで閉じてしまった。
私はカバンから課題一式取り出し渋々やることにした。
「ん?」
すると私が机に置いといた課題の隣には何かのノートが置いてあった。
パラパラパラパラ…
勝手に開いていくノートに私は声も出せず、腰を抜かしていた。
「あ―」
口を開く前に私は本の中に吸い込まれていった。
パタン。
部屋は静寂に包まれた。
9/30/2024, 4:58:20 AM