小説が好きな人

Open App

子供の頃…
私には、子供の頃というものがない。
記憶がないだけかもしれない。
あるいは、本当にないのかもしれない。
私は、どんな子供だったのか分からない。
知らない…
知らない…知らない…知らない…
どんな子供だったのか、分からないだけでこんなに
怖いなんて。
『君の〇〇もらっていい?』
突然そんな声が、頭の中に響いた。
ゾクッ…
私は、子供の頃の記憶がないだけかもしれないのに
とにかく、怖かった。
その日から、だんだん記憶を無くしていった。

ー貴方は意味が分かりますか?ー
そうです。
頭の中に響いた謎の「声」です。
子供の頃がなかったのではなく、『記憶を持って行かれていた』ということです。
だから、この人は子供の記憶がないのです。

6/23/2022, 11:13:12 AM