勿忘草(わすれなぐさ)(投稿3回目で、長めの小説です)
私には、小さい頃から仲が良かった男の子がいた。
幼稚園で出会い、毎日楽しく遊んでいた。
だけど、幼稚園の卒園式の時に、お引越しすることになり、仲が良かった男の子に、別れの挨拶をしたが、私は悲しく、涙がポロポロ出てきた。
それを見た男の子が、私の涙を拭ってくれて、「なかないで、ぼくもかなしいけど、いつかあえるから」と言ってくれて、嬉しい気持ちになった。
それから、何通もお手紙のやり取りをしたり、電話で話したりもした。
そうしていくうちに、私は段々、彼のことが気になるようになっていった。
そして、何年も過ぎていき、私は行きたかった大学に合格した。
その大学には、自宅から通うのが難しい人の為に、寮がある。
私は、自宅から通うことはできないので、寮に入ることになった。
そして、大学の入学式。
私は、大学へ向かう。
その時に、「ねぇ、君。もしかして幼稚園で一緒だった人かな?」と、私に声をかけられた。
聞き覚えのある声、電話で何度も聞いた声。
私は、聞こえてきた声の人の顔を見ると、私が気になっている彼だった。
彼は、かなり身長が高くなっていて、凄くカッコよくなっていた。
私は、「えっと、はい。幼稚園の時に、毎日遊びました」と言うと、彼は、「はは。敬語じゃなくて良いのに。でも、久しぶりだね、元気だった?」と聞かれ、私は、「はい」と答えた。
久しぶりなのか、タメ口が出てこない。
何だか緊張してくる。
彼の顔を見るのが恥ずかしくて、見れない。
もしかして、私は彼のことが…好き、なのかな?
すると、彼は、「あ。そろそろ大学の入学式が始まる。ちょっと待ってね」と言い、鞄からメモ帳とボールペンを取り出し、書き始める。
そして、書き終わったメモ1枚を私に渡し、「これ連絡先、何かあったらメールして。じゃ、僕行くね」と言い、彼は大学へ向かって行った。
私は、貰ったメモを、ポケットに入れて、自分が通う大学へ向かった。
入学式が終わった日の夜に、私は彼に週末の日曜日に会いたいと、メールで聞いた。
彼からは、「大丈夫だよ」と返事がきて、週末に会う場所と時間を決めていった。
次の日
大学へ行こうとしていると、彼がいて、声をかけようとしたら、可愛い女性がいた。
え…もしかして、彼女…さん?
彼は、可愛い女性に頭を撫でたり、手を繋いでいた。
この時、私の恋は終わってしまった。
そして、会う前日に、私は花を一つ買いに行くことにした。
その花の名前は、勿忘草。
彼女さんがいる彼に渡すのは迷惑かもしれない。
でも、渡したいから。
その後、勿忘草を一輪買い、寮へ戻った。
そして、週末。
私は、彼と待ち合わせした場所へ向かう。
すると、彼は先に来ていた。
彼に会い、お互い挨拶をする。
それで私は、「あの、彼女さんいるんだね。この前見かけたよ」と言うと、彼は驚き、「え!見てたの?」と言うと、頭を下げて、「ごめん!」と謝った。
いきなりことで分からず、どうして謝るのかを聞いた。
すると、彼はこの前一緒にいた可愛い女性について説明した。
まず、彼には彼女さんはいなくて、一緒にいた可愛い女性は、大学の入学式で出会った人で、週末の土曜日まで、昨日まで恋人でいて欲しいと言ってきたらしい。
彼は、最初断ったが、急に女性は泣き出してしまい、週末の土曜日まで恋人にいることを承諾した。と言うことらしく、期間限定の恋人は土曜日に無事終わったそうだ。
それを聞いた私は、涙が溢れ、ポロポロ流れてきた。
彼は驚き、「え?どうしたの?」と心配そうに私に近づき、私はゆっくり話した。
「私。昔、お手紙のやり取りと、電話で沢山話したでしょう?そうしていくうちに、あなたのことばかり考えるようになって。それで、大学の入学式に再会した時、嬉しかった。あの時私の言葉が敬語だったのは、緊張していたからなんだ。あと、背も凄く高くなってて、カッコよくなって、驚いた。その、再会して気づいたよ。私、あなたが好きだということを。それで週末に、告白しようかと思っていたんだけど、あなたが可愛い女性と一緒にいて、頭撫でたり、手を繋いでいるところを見て、私の恋は終わったって。だから、花を買いに行ったの?」と言うと、彼は、「花?」と聞かれ、「うん。勿忘草。渡そうと思っていたんだけど、あなたの話を聞いて、その、私の恋は終わっていなかったから、どうしようかなって」と言うと、彼は、「あの…さ。さっき僕のことが好きと言ってたよね?僕も君のことが好きだよ。お付き合いしない?」、と言われ、「本当?嬉しい。これからもよろしくね。大好き」、と言うと、彼は、「あと、勿忘草は受け取るね、沢山思い出作ろう」と言い、勿忘草を受け取り、「うん!」、と言った。
こうして、私に恋人ができた。
彼と、沢山の思い出が作れますように。
2/3/2023, 5:14:55 AM