狼星

Open App

テーマ:花畑 #308

「頭の中花畑か?」
馬鹿にして嘲笑う声が聞こえてくる。
そこには眼鏡をかけた前髪の長い男子がいる。
声の主は陽キャの私にとって
あまり関わりたくない男子。
「何考えてるかわかんね―」
そう言って眼鏡男子の机を蹴っている。
全く足グセが悪い。
ガンガンと机を蹴る音が教室に響く。
みんなそちらを見ているが、
一向に止める様子はない。
「アンタのほうがお花畑よ」
私はヒヤリとした。
みんな一斉にこっちを向く。
「あぁ?」
そう言って陰キャ男子もこっちを見る。
「アンタみたいな男子が一番嫌い」
私はボソッと言った。
私はたまにこういう事がある。
私の中の『正義』がうずいてしまうのだ。
大抵そう言う時は私が次のターゲットになる。
別に私は目立ちたいわけじゃない。
私を目立たせるようなことをする奴らが悪い。

私の周りに人がいないのもそういう訳だ。
私がこういう事を言ってしまうから。
陽キャ男子は私に言われるだけ言われると
イライラしながら教室を出ていった。
みんな何事もなかったかのようにするか、
私のことを冷ややかな目で見るのだ。
いつもと変わらない。
「あ、ありがとう」
近くでそんな声が聞こえた。
私はそっちを見ると眼鏡男子。
こんなことを言われるのは初めてだった。
いつもなら何も言われることはなくて、
ターゲットになるから誰もよって来ないのに。
私は思わず呆然としてしまった。
自分の席に帰っていく
眼鏡男子の後ろ姿をじっと見ていた。

9/17/2023, 11:21:45 AM