寒さが身に染みて
4年前の今日、母親が突然死んだ。俺は知らなかった。母親が病気で苦しんでたことを。母親は最後まで教えてくれなかったんだ。俺は、妹に教えて貰って葬式に出席した。親父は俺を殴った。「母さんは、最後までお前の名前を呼んでた!なんで来なかった?!なんで、母さんの最後を看取らなかったんだ!」俺は言い返したかった。「病気のことを知らなかったのに最後を看取れるわけないだろ!」でも、口が動かなかった。口が震えていて何も言えなかった。目頭が熱くて、頬に冷たいものが伝う。父さんから見れば俺は、親不孝者だろう。父さんは俺の状態を見て頭を冷やせと雪が降っている外に俺を放り出した。ジャンパーと携帯を渡して貰えただけましだった。目の前には自分の吐いた白い息とチラチラと雪が舞っている。その日、今までで1番寒さが身に染みた日だった。火葬場に俺は行かなかった。行ったら、もう涙でぐしゃぐしゃになってかっこ悪い姿を晒す訳にはいかなかった。それは言い訳だ。母親に、自分のために泣いてくれてるいい息子という感覚を植え付けたくなかっただけだ。母親には、最後まで反抗期の嫌な息子という印象であってほしかったから。
1/12/2026, 9:42:46 AM