#1『寒さが身に染みて』冬は嫌いではなかった。白い頬を赤く染めてマフラーに蹲る君が可愛らしかったから。24時をさす長針を眺めそんなことを思い出していた。君の笑顔がそこにあるだけで幸せだったはずなのに。僕はこれ以上なにを求めようとしたのでしょうか。君の心のかけらはすでに、少しもここにありはしなかったのに。寒さがこれ程までに身に染みるのは、君の温かさをあの日よりずっと追いかけているからだろうね。馬鹿な僕。
1/11/2024, 2:02:53 PM