金木犀

Open App

 静かな終わり


 その日、世界が崩壊を始めた。
 住宅やビルから順に、それらが焼け焦げ灰になるように崩れていった。伝染するように車や植物も崩壊を始め、黒ずんだ世界に訳もわからないまま、ただ恐怖するしかなかった。理由など考える暇もない速さで、やがて地面さえ崩壊を始め、踏みしめれば土な塊の様に脆く崩れていった。
 そしてやがて誰もが「終わるべくして終わるものなのだ」と諦めた。終わりとはいつだって劇的なものではなく、ただ初めから決められていたかの様に静かに進行していくのだと。
 そうして僕らに終わりがやってきた。
 小指の先から灰になる体に、最早恐怖など残っていない。

12/29/2025, 2:39:07 PM