星野 エナガ

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こうするしかない。
自分には友達がいる。名前は『Y』とする。ソイツはまだ子どもで、自分で自分の内臓をえぐりだした。クレイジーな戸籍上女野郎だ。そんなYは、霊に気に入られている。一回お祓いに行った。自分も付き添いで行った。あまり神社やお寺に自分は行かない。神主さんが自分に話があると言ってきた。
「あの子は手遅れかもしれない。」神主さんが言った「なんの…Yの何が手遅れなのですか?」自分は言った。多分焦っていた。「あの子は霊に好かれすぎている。私でもお祓いできたのは運が良かった。いずれ…いや、近いうち私でも祓えない霊に求婚されるだろう。」神主さんはうつむいている。「されたら、どうなるんです?」「中国や台湾には『冥婚』という死者と生者との婚姻がある。日本にもあるのだか、その霊は強いから、あの子は死ぬだろうね…」と神主さんは言った。自分は色々と考えてしまった。
お祓いが終わったあと、自分はYにこんなことを問いかけた。「死ぬのは怖い?」そしたら、Yは笑っていった。
「死ぬのが怖かったら、生きるのが怖いと思っていない」と。遠回りだが、怖くない。と言っていて、自分は安心した。
自分はいつもYのそばにいた。電柱に隠れているアイツは馬鹿だ。祓われているのだから。来週、Yとは婚姻を結ぼう。誰かに取られるのならば、自分が取るのだ。指輪は1つだけ。自分のはない。だが、それでいい。結んでしまえばこっちのもんだ。

『1つだけ』より
※この話は『見つめられると』『ハッピーエンド』の続きとなっております。前回を見ていない人にはわからないようになってしまいました。大変申し訳ない。

4/3/2023, 12:34:23 PM