『歪なSerenade』
ーーお化けに好かれてしまったみたいだ。あいにく、僕には、そういう趣味はない、悪しからず。
君は、僕の何処を好きになったのだろうか??
僕は、IQぐらいしかいいとこは、ないと自負している。
何時も自分のことで精一杯なのだ。
だから、恋なんて……、時間の無駄だ。
『バカばっかだ』
ーー教室の隣のの机は、桜のかすみ。何時も明るくて友達も多くてふんわりとしたカワイイ女のコだ、それだけ。
でも、その桜かすみの机には、かすみ草の花が置かれていた。
あの日、桜かすみが僕にカードで、『れいん君が好き』と渡したのだ。
『桜さん、いまは、僕は、勉強のことで精一杯なんだ。』と、
当てつけのように彼女のカードをビリビリと破いた。
『れいん君、ひどい……』と、桜かすみは、廊下をカワイイ笑顔が泪ゆがみながら駆けて行った。
今、僕は、桜のかすみのことをカワイイと不覚にも思ってしまった。
桜かすみは、こんな僕の何処がよかったの?何時も余裕がないのに……。
ごめん。
ーー蝉時雨が僕を責めた。
でも、俯いている時間がもったいない。
すると、三階なのに窓から、ノックの音がした。コンコン。
『れいん君、私のことカワイイって一瞬でも、思ってくれてありがとう、ネ♫^_^かすみ、振られたけれども、嬉しかったよ〜。さようなら、れいん君勉強の邪魔してごめんね〜。』
と、桜のかすみは、こっちが話しかけないうちに消えてしまった。『勉強頑張ってね〜、か。』と、僕は呟いた。
教科書を開き、ノートを僕は書いた。『桜かすみさん、こんな僕のことを好きになってくれてありがとう。』
今は、勉強に頑張ります、ごめんね。終わり
8/12/2023, 3:46:17 PM