溢れる気持ち____
嫌いな子、苦手な子なんて滅多にいなかった。少なくとも合わない子はいたとしても、嫌いな子は出来たことがない。でも、初めて出来たんだ。それは自分のことを尊敬してくれるとても優しい純粋な子だった。
彼女は、頑張って陽気な人と話して、自分の地位を保とうと必死だった。彼女が流せず笑えずにいる時も、彼女の一言でシーンとなってしまった時も、私は拾ってフォローしていた。別に同情でもなんでもない。ただ、痛々しくて見ていられないだけ。でも、彼女をフォローし続けた結果、気に入られてしまった。
尊敬されることも気に入られることも悪い気はしない。でも、心の奥底に蓋をしてある感情が出てこようとする。
[下手くそなんだよ、生きるの。もっとこうすればいいのに。もっとこうやって笑って、もっとこうして話して、どこかを諦めて、どうすればいいかを考えて、行動して、発言して。笑って笑って流して。なんでそれが出来ないの?]
その気持ちは、果たして過去の自分への感情なのか、
彼女への感情なのかはわからなかった。
でも、この気持ちに名前をつけるとしたら「嫌い」だと気がついた。彼女は自分に似ている。過去の自分に。上手く生きられなくて、笑えなくて流せなくて、ノリに乗れなくて。そんな世界一嫌いな自分にそっくり。
尊敬されればされるほど、褒められればめられるほど、心の蓋が揺らぎ、抑えられなくなる。そうなる前に彼女から離れなければ。でも、離れれば彼女は傷つくし、離れなくても私の蓋がいつ開くかわからない。私も彼女と同じで下手くそだ。生きるの。
でも、なんだかんだで見捨てられない。過去の自分を見ているようで。ああしてほしかった、こんなことを言ってほしかった。そう、過去の自分が望んでいたものと彼女が望んでいるものはきっと同じで、だから尊敬されてしまう。違うのに。私はそんないい人間じゃないのに。貴方を見捨てたいと思ってしまっているのに。彼女の真っ直ぐな目は青くて痛くて美してくて嫌いだ。
2/5/2024, 10:20:59 AM