塵芥 椎歌

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【脳裏】

・脳裏・脳裡

(意味)
脳中。頭のなか。
 「―にひらめく」

ふと、理解してる筈の言葉の意味を調べる時がある。

脳裏ってさ
「脳」の「裏」って組み合わせて
「脳裏」って何か変だな。

そもそも、脳の裏ってどこだろう?
なんて、思いながら。

そんな僕の脳裏を書けと言われると
「綺麗な思い出」
しかないや。

不幸な思い出さえも
鮮やかになっていて
幸せな思い出は勿論
当時より盛られていて
涙も綺麗で
苦しみも真剣で
逆境も超えて
ぶつかった幾千幾万の
高い壁さえも
ぶち壊せた。

だから、今日も生きている。
だから、僕の脳裏は誰よりも幸せで
今こうしてる瞬間も
僕の脳裏は昨日の記憶を
早々と、
より鮮やかに色を塗っているのだろう。


――そうでないと
人は脆いから生命を維持出来ないんだもの――



其れを知ってて、
色鮮やかに塗ってくれて、
焼き付けてくれて、
五感に刻んでくれてるんだね。


だからね、これからも、
もっと綺麗に焼き付けて
刻んで、上塗りして、
「脳裏」と言う芸術家に、脚本家に、
縋って生きていくんだ。


どうか、どうか、
命尽きるまで
色鮮やかに塗り続けておくれ。


その日が来た時、
僕は君に心から、

「有難う。綺麗だったよ」

って、笑って目を閉じるよ。






僕の脳の裏側さん。





―塵芥―

11/10/2023, 1:08:20 AM