NoName_(vine)

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カーテンコールの残響が頭の上でまだゆらゆらして、たっぷりと注がれた透明な、何もかもとけあわないコップの中で水面が揺れている。夏の夜明けがやってくる。
破れた日傘の中で、ゆっくりと反芻されていくひかりが、やわらかくあたたかいこの場所で、ずっと膝を抱えていたいと思う、白い花が、向こうに見える、
美しいものほど、見つめなくてはならない

            『心の灯火』

9/2/2021, 3:22:04 PM