おと。

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その日は快晴だった。
恋愛に対して全く興味がなくむしろ意味がないと思っていた女の子がひょんな事をきっかけにある人に恋をしたのだ。
きっかけが何か?
そんなもの決まっている。
よくある一目惚れというものだろう。

     ☆

「来夏〜!なに?ついに恋をしたのか?!」
「な、なんでそれを!エスパーか!」
動揺した来夏に私はやっぱりか〜と言いながら、止まっていた来夏の前を歩き出した。
それに反応して来夏も横を歩き出した。
「なんで、わかったの!」
「顔を見ればわかるよ〜」
「顔?」
頭にはてなが浮かんでいる来夏に私はつい笑ってしまった。それにイラッときたのか背中を殴られた。
「何するのさ!」
「…手がすべった」
絶対態とだ。まぁ、いっか。
「え〜っと…解った理由?だっけか」
「うん」
「それはね〜、来夏の顔には恋した女の子って顔してた   からだよ!」
沈黙が流れた…。そのあと、来夏が急に走り出した。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ちょっと!?来夏ぁ〜!」
来夏とは幼馴染みだが、あそこまで混乱して走り出した姿を見るのは初めてだった。
いつもなら恋愛話を聞く側だったからね。あぁ、なるよね…超鈍感ちゃんがついにここまで来たしね。
私からしたら嬉しいけど、来夏からしたら大変なんだろうな。
「そっち反対方向だよ!?来夏、聞いてる?!」
来夏が走っていく方向には同じ高校の制服を着た男子がいた。
イチかバチかで叫んだ。
「そこの男子!その子掴まえて!」
そう言うと、あっさりと聞いてくれた。
「は〜い、ストップ!」
「うわぁ!」
はぁ、やっと掴まえれた。
「も〜、来夏逃げるな!」
「らい、か?てことは晴香か!」
「あれ?もしかして…冬夜?!」
来夏を掴まえてくれた男子は昔引っ越してしまった幼馴染みだった。
そして、何故か来夏が私の後ろから出て来ない。
「どうしたの?来夏?」
来夏に声を掛けて顔を見ると真っ赤だった。
………これはもしかしたら。小さな確信を抱いた私は、
冬夜に聞こえないようにして、来夏に聞いた。
『来夏、もしかして冬夜のことだったのかな?』
そう言うと、石のように固まった。
図星だ。
「来夏、俺の事覚えてる?」
「黙れ、知らん」
「見ればわかるだろいちいち話し掛けんなだって」
少しダメージをくらったのか黙った。
が、そんなことはなかった。
「毒舌女」
「勝手に言ってなよ、女たらしが」
「誰が女たらしだ」
「冬夜以外に誰がいるの?」
なんで、毎回こうなるのか…。
はぁ、来夏の恋は難しそうだね。

     ☆

とまぁ、この調子だよ。
来夏の恋の物語がどうなるのか楽しみだ。
んっ?来夏がどうなったか気になるって?
それは、御覧になった皆様方に任せようではないか。

# 6

5/18/2023, 3:57:46 PM