今までは自分の家が輝いて見えた。
ドアを開けると母親の「おかえり」と言う声。
部屋に入ると愛犬が飛びついてくる。
父親の「お風呂に入りな」と言う声。
妹の「姉ちゃん!帰ったなら呼んでよ!」と言う声。
仕事の疲れを癒してくれる唯一の存在たち。
今はもう、何も無い。
ドアを開けても声をかけても帰ってくるのは静寂だけ。
部屋に入っても愛犬はいない。
ご飯を並べる母親の姿。
お風呂を知らせる父親の声。
楽しそうに話しかける妹。
もう、誰も、なにも無い。
一室に押し込められた仏壇。
手を合わせるけど自分の心が満たされることはなくて、
残ったのは肥大化する孤独感、閉塞感、虚無感。
輝いてるのは街の明かりだけになった。
お題「街の明かり」
7/8/2024, 1:45:13 PM