雨凪紲月

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恋物語

私の恋物語は、皆がきっと経験するような甘い恋じゃなかった。
ただ、悲しくて苦しくなる恋だった。

初めて、心から好きになった人だった。
一度別れてもまた巡り会った。
不安で心が押しつぶされそうになっても
貴方の声を画面越しに聞けば安らいだ。
何度も、別れても再び巡り会う

まるで運命みたいに思えた。
でも、離れなくては行けなかった。
この関係は、人には言えない関係
いけないことだってわかっている。
でも、やめられなかった。抜け出せなかった。

ある人に出会って、私は貴方との縁を切る事にした
長く格闘し続けた気持ちにケリをつけて
貴方にサヨナラを告げて、私は貴方の前から姿を消した。

きっと前の貴方だったら、なんでと止めてきたのに、
最後の貴方は止めもしなかった。

変わっていた。いや変わってしまった
前の貴方は私の事呼び捨てで呼んだ。
“ちゃん″なんて付けなかった。
話し方も、緩い話し方じゃなかった。
うざいとか、そんなこと言わない人だった。

嬉しかったよ。別れてもまだ私の事忘れずにずっと好きで居続けてくれたこと。
付き合いたいほど好きと言ってくれたこと。

でもね、私はその言葉を貴方の口から聞いても
心のどこかにある不安に信じることは出来なかった。

きっとそれは、前だったら嬉しくて嬉しくて
応えていただろう。貴方の気持ちに。

でも、今は。
その気持ちも分からなくなって、ただ苦しい感情だけが胸の中を渦巻いたのさ。

永遠に、忘れられない呪いと、苦しみを与える呪いをかけた貴方を恨みたくなる。

出会いたくなかったと後悔しても、もう遅いの。

きっといつまでも、その気持ちに囚われてしまっているから。

初めて感じさせられたこの気持ちは今でもずっと私の胸を締め付ける───。

5/18/2022, 11:57:37 AM