#麦わら帽子
暑い夏
僕らはあぜ道を進んでいる
この日は日差しが強くて、君のことを見ようにも
目を細めなきゃいけないくらい眩しかった
君は麦わら帽子を被りワンピースの裾を翻しながら
僕のことなんてお構い無しに進んでいく
「早くおいで!
この先にもっと凄いところがあるんだから!」
振り返りながら僕にそういった
君が指す先は木々が茂っている
「わかった!」
と言って流れる汗も気にせずに
君の背中だけを追いかける
追いかけ続けて追いついた時
小高い野原になっていた
よく見ると先の方に君の姿が見える
「やっと追いついたよ」
そう言いながら前を見るとひまわり畑が広がっていた
「これが見せたかったんだ!」
その声を聞き、横を見ると
君の姿はなかった
ふと自分の手を見てみると
夏にいつも被っていた君の麦わら帽子がしっかりと
握られていた。
8/11/2023, 1:27:26 PM