日差し燦々と降り注ぐ光を残らず反射したような、真っ白な日傘が目を焼く。持ち主の姿はすっぽりと隠されて、涼やかな水色のスカートと細い足だけが窺えた。一陣の風が吹き抜ける。日傘を飾るレースのリボンがそよぐ。風が何かを伝えたのか。日傘がゆっくりと振り返る。眩しい太陽に溶け消えそうな儚くも美しい顔が見え、その瞳が自分を認めると、彼女は破顔一笑、日傘を放り出して飛んで来た。「兄様!」「うーん、台無し」「?」
7/2/2023, 1:23:12 PM