エグチーセット

Open App

思考がぼんやりとする中、耳元でピスピスと笛を中途半端に鳴らしたような音がする。
それはこめかみや頬に押し当てられより存在感を増していた。眠気が遠のくにつれよりはっきりと存在が顕になる。逃げるでも引き寄せるでもなくじっとしていれば少し困惑しているのか右往左往しだす。ちょっとだけ笑いそうになり歯を食いしばれば生え際に鼻先を押し当てよりピィピィと鳴き出した。
たまらず寝返りをうちながらその正体を両手で捕える。
捕えられた方は嬉しそうにご自慢の尻尾を振っていた。ご機嫌で何よりである。
「おはよ。おなかすいたね」
それに同意するように手の中で嬉しそうに体をくねらせる愛犬。
始まりはいつも君が一番のりだ。

10/20/2023, 10:50:33 AM