「最近、仕事が忙しくてさ、ごめんね。今日はのんびりしよう。」
付きあって3年が経つ彼と久しぶりのおうちデート。本当は外に出かけたかったけど仕事で疲れた彼をゆっくりさせてあげたい気持ちが勝って家に遊びに来た。
「お腹はすいてる?」
「うん。」
「なんか作ろうか?」
「食材あったかな?無理しなくてもいいよ。」
そんなに自炊が得意ではない彼だから大したものは
入ってないだろうけど冷蔵庫を開けてみた。
冷蔵庫を開けた瞬間、違和感を感じた。
作りおきのおかずなのか、残り物をタッパーに詰めたのか、そんなマメさは彼にない。
「昨日何食べたの?被ったら嫌だからさぁ。」
「何食ったっけな?覚えてねーな。あーパスタだったかな?」
黒に近いグレーである。
「ふーん。使えそうなものあんまりないから炒飯で良い?」
「うん。」
また調味料の引き出しを見ると見慣れない調味料が入っていた。
あいつ調味料とかこだわるタイプじゃないしなと思いながらも炒飯を仕上げて彼の前に置いた。
「どう?美味しい?」
「ああマジで上手いよ。」
「調味料のおかげかも。」と微笑んだ。
御手洗借りるねと席を外し、気を張らないと泣きそうなになりそうな鏡で確認しようとふと視線をやるとシャンプーの影に女性物のヘアオイルがあった。
「100パー、黒じゃん・・・」
とつぶやいた。
部屋に戻ると彼は炒飯を食べ終わっていて上機嫌だった。
「なんかあったの?元気ないじゃん。今度さディズニーリゾート行くか!」
と彼は嘘をついた。
何故嘘だと思うかと言えば、以前から並ぶの嫌いと言って1度も行ったことがないからだった。
「もぉそんなこと言って今日はエイプリルフールだって分かってるから!」
「バレたか。」と無邪気に笑う彼だったが
「ねね、エイプリルフールって知ってる?午前中は嘘ついて良くて午後は真実をバラして終わるのが正式らしいよ。」
「へぇー!今11:58分だからセーフだな。」
「そうだね。もう3年も付きあってきたから何となく分かるよ、嘘は。女の勘は鋭いしね。」
「なんだよー。分かんないかもしれないだろう?」
「そうかもね。私たち別れようか。」
「えっ?またベタな嘘だなぁ。」
と言う彼を見つめた。
「なに?」
視線に耐えきれず彼は視線を逸らし誤魔化すために時計を見ると12:02を指していた。
「えっと12:00過ぎてんだけど?」苦笑いした彼に
私は
「他に女の子いるよね。真実をバラす時間だけど?」と彼に問いかけると彼は瞬間息を飲んでしまった。
「私が嘘ついたか真実を話したかわかった?」
といって部屋を出て行った。
『エイプリルフール』
4/1/2023, 10:30:14 AM