友情
カエルくんには、友達がいました。
その友達はドジョウくんです。
二匹はいつも悪口を言い合っています。
ドジョウくんがカエルくんにいいます。
「やあい、カエルのおバカ。お前の母さんデベソ。お猿のお尻は真っ赤、カエルは恥かき、べそかけ、真っ赤。」
カエルくんはドジョウくんに言い返します。
「何を言う、ドジョウのアホ。ドジョウはヌルルヌ、泥の中。ドジョウの泥棒、ブタ箱へハイドウジョ」
いつも二匹は顔を合わせると悪口を言い合っています。カエルくんは悪口を言ってドジョウくんの顔が歪むめば、自分の勝ち。そういう遊びをしていると思っていました。
だから、一生懸命にドジョウくんが傷つくことを言おうとしました。カエルくんは悪いことをしているとは思っていませんでした。だって遊びだから。
ある時カエルくんはドジョウくんが、悪口を言い返してこない時が時々ある事に気が付きました。どんなにカエルくんがひどいことを言っても、ドジョウくんは少しニコッとして何処かに行ってしまいます。
そんなことが何度もあるので、カエルくんはたまりかねてドジョウくんに言いました。
「なんで、時々何も言わなくなるんだよ。」
ドジョウくんは答えます。
「だって、お前辛いことがあったんだろ」
カエルくんは言葉に詰まってしまいます。
「だからって、…。」
ドジョウくんは何食わぬ顔して、何処かに行ってしまいました。
確かにカエルの家は、毎晩お父さんがカエルやカエルくんのお母さんや妹に暴力を振るいました。カエルくんはそんな毎日が時々耐えられなくなりました。あんまり辛くて死んだら楽になれるかなと思いました。また、泣きながらお父さんなんて死んでしまえばいいと思いながら寝ることもありました。そんな日はお父さんが死ぬ夢を見て、泣きながら目を覚まします。そしてお父さんは死ぬほど悪いことしてない、死ななくていいと思うのでした。
そんな毎日でもカエルくんは明るく振る舞っていました。それでもドジョウくんにはわかったのでしょう。
カエルくんはその日以来、悪口を言う遊びがつまらなくなりました。なぜかドジョウくんも悪口を言ってこなくなりました。
7/25/2024, 3:25:41 AM