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誰よりも


僕が所属している管弦楽団に入部してきた新入生達は初々しい出立をしていた
経験者がほとんどの中、初心者で入部した少女は引っ込み思案なのか、他の新入生達から一歩引いた位置にいるような子だった。
大人しく、何考えてるかわからないと周囲から言われるほど自分の考えを主張しない彼女は、いつも黙々と練習していた。
音程も合わず、追いかけるので精一杯だったのが、演奏会が近づくにつれて綺麗な音を奏で、情熱的な演奏に変わる
日を重ねるほどに洗練されていく音色は、経験者である僕たち負けられないと思わせるほどだった。
大人しいはずの彼女が奏でる音色は魅力的で、隣で一緒に演奏するのが楽しい
隣で弾いている僕の弾き方を真似するように、合わせるように改善されていく彼女の音色やその直向きな努力が好きだった。

2/17/2024, 6:28:14 AM