青陽

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雨降りのなか、段ボールの束を抱えて外に出ようとした。
自動ドアから出入りするお客様に挨拶しながら数歩外に出たとき、外から戻ってきた同僚とすれ違う。瞬間、
「嗚呼、やりますよ。」
何気なく段ボールの束を私の両腕からすっと抜き取る。流れるような同僚の動きに一瞬戸惑う。
「…ありがとうございます。」
やっと出た声は掠れていた。
マスクに覆われた同僚の表情はよく分からない。目元は相変わらず仏頂面だ。ただ私のお礼の声に静かに頷き、再び雨のなかに出ていった。

3/30/2023, 12:32:18 PM