「子供のままで」
君がこの家に来なくなって数ヶ月たった。
いつものように「バイバイ」と言って去っていった君の香水が、今でも心に残っている。
いつものように漂っていた、甘い香水の匂い。
いつからか、部屋からもしなくなっていた。
きっと、気まぐれで来ないだけ。
そう自分に言い聞かせて、
どのくらいの月日が過ぎたのだろうか。
彼が来なくなってからの日常はとても乾いたものだった。
仕事から帰ってきて、おかえりと言ってくれる人はいない。
ひとりで食べるご飯は、どうしても味がしなかった。
代わりに仕事を入れて忘れようとしても、体を壊して迷惑をかけて。
友人と遊びにもいったけれど、距離を忘れて作り笑いしかできなかった。
日に日にやつれて行く自分を見かねて、
同僚が休みを取ってくれたものの、
自分が居なくても世界が回る事実により悲しくなって。
本当は、心のどこかでわかっていた。
彼にとって、私は優先順位の高い存在では無いことなんて。
3日か4日に1回来ては、泊まって帰っていく。
強い女物の香水の香りをを漂わせ、赤い頬を擦りながら、いつも彼は言っていた。
「いやほんと××がいてくれて助かるよ〜!」
その言葉に踊らされてずっと、彼と一緒にいた。
たとえ彼がなんとも思ってなくても。
都合のいい女だったとしても。
わかっていたつもりだったのに。
「子供だなぁ…」
誰もいない部屋に、小さな嗚咽が響く。
「…子供のままで、いたかったな」
静かに涙を零し、呟く。
何も知らないままで、いられたなら。
力尽きて眠る彼女は、まさに子供のようだった。
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…なんか色々無理矢理感凄くないですか
久々ですね。高校生活めっちゃ忙しくて落ち着くまで更新できませんでした…
いや本当はエイプリルフール出そうと思ってたんです。
そしたらなんかちょっと目を離した隙にデータが消えていて…(自分のせい)
すみませんでした…
更新…もう少しは頑張りますね…
では、このあとも読書をお楽しみください。
5/13/2024, 9:46:53 AM