鷹野宗介

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早朝、外へ出かけようと自宅の二階にある自室から、一階にある玄関へとまっすぐに下る階段の上に立ったとき違和感に気付いた。
階段下、玄関の手前に雌のライオンが二頭。鎖に繋がれていた。
ライオンにおける雌といえば、プライドと呼ばれる群れの中で狩りをおこなう役割を担っている。すなわちイメージとしての百獣の王は雄だが、他生物から見て実質的に危険なのは雌なのだ。その、危険生物の、それが階下に繋がれている。二頭。二頭である。一頭でも人間にとっては絶大な脅威であるにもかかわらず、それが二頭。階下に二頭。考えたくもないが、それらが本気で狩りをしようと試みれば連携も取れてしまう。
自宅は人が最も安堵できる場所だろう。そこにサバンナの食物連鎖の頂点であり、プライドでは狩り担当、連携をとって獲物を捕らえます、でお馴染みの雌のライオンが二頭も鎖に繋がれている時の恐怖は筆舌に尽くし難い。
さらに、鎖に繋がれているということは、人為的に設置されたものなのだ。深夜に何者かが我が家の玄関内に雌のライオンを二頭、おそらく一筋縄ではいかなかっただろう。麻酔で眠らせたにしてもその重量から、何人かがかりで運び込み杭を打ち鎖で繋いだのだ。目的不明。絶対的な恐怖。止まらない動悸。震える脚。冷えた階段にグルルと響くライオンの唸り。

気付くと目が覚めていて、自室を出る。
階段下の確認は怠らない。

1/23/2026, 10:29:48 AM