『夢を見ていたい』
僕のクラスには変なやつがいる。
そいつは母さんがいないんだ。
なのに母さんが朝ごはんを作ってくれたとかデタラメを言うやつ。
そのため友達は0人。
ある日、「僕の夢・願い」というお題の作文を書くことになった。
俺の夢は、死ぬまでにギネスを残すこと。
誰でもこんなこと夢に見た事あるだろ。
宿題なんてそんなに丁寧に書かなくていいんだ。
でも、あいつは1人教室に残って黙々と鉛筆を動かしていた。
僕は呆れていた。
提出日。
僕はあいつがどんな事を書いているかが気になった。
覗いてみると、そこには「お母さんが居ていたら。」
と書かれていた。
最後の行には「親がいるのは当たり前じゃない。」と。
そうだ。いつ両親が亡くなるか分からないんだ。
あいつは小さい頃に味わったんだ。
夢見たっていいだろう。
僕はそう思った。
〜 春 〜
僕は卒業文集に「夢を見ていたい」そういう文章を書いた。
僕の心に響いたんだ。あいつの作文が。
〈フィクション〉
1/13/2024, 11:15:20 AM