声が枯れるまで これまた実話でぇす(後日談)
合唱コンクールの練習が始まった。
どのクラスも「金賞取るんだ!」そう夢を掲げ
一歩、また一歩と歩き出す。
私も「今年で最後だし金賞取りたいな」
そう。思っていた。
課題曲はいきものがかりのYELL
私はこの曲を一生忘れない。
私はソプラノのパートリーダーを3年目も務めた。
だが今年はこれまでの私とは違う練習していく上で
成長した、そう感じた合唱コンクールだった。
「ソプラノは基本高いけど、低い音も欠かさず
ハキハキ歌ってね」
「ハモリのところがアルトに釣られてる。私が誘導するから着いてきて」
みんなが今年は気合いが違うと感じた。
いざ合わせて前で聞くとやはり、ハーモニーが
成り立っていないと思うようになった。
ある日実行委員さんから
「かほさん!前で指導してもらって良いですか?!」
そう声をかけてもらった。嬉しかった。
「アルトもっと声だして」
「みんなテノールの音程調整するから、各パートで練習してて」
「テノール、始めの音をハッキリ発音して。」
指示がスラスラと出てくる。しかし、周りのみんなは各々したいこと、自由にしていた。
そんな日々が続いて。ある日私は気合いを
入れ直して、改めて練習に励んだ。
「みんな!集まって!」いつも大声を出さない人が
大声を出すとみんなはやっぱり驚くのか。
そう思った。
「みんなはさ、何がしたいの?」
私は一人一人の目を見て語りかけた。
「金賞取りたいって目標に書いてあるけど、本当に取りたいって思ってる?」
「どうゆう意味?」
「みんなからは、金賞取りたいって気持ち、
気合いが感じられないよ!」
「どうして、ちゃんと練習しないの?
どうして、実行委員、パートリーダー、先生の
言うこと聞けないの?本当に金賞取りたいって
思ってる?」
私の心は燃えていた。闘争心と言うものだろうか。
そこからみんなの顔つきは変わったように思う。
並んでと言えば並んでくれて、
姿勢と言えば直してくれて、
前向きに進んでると思った。
リハーサル私は他のクラスの曲を聞いて
「無理かな。」そう呟いてしまった。
最後まで最後まで諦めはしなかった。
直前まで、1人でも私は練習した。
それほど、前までにあった自信が削られていた。
本番前私はみんなに言った。
「練習きつかったでしょう。
きつく言ってしまって申し訳なかったです。
本番だけど、大丈夫ですか?緊張してないですか?
服装大丈夫ですか?皆さんはこれまで練習してきたんだから大丈夫です。金賞でなくても、良い思い出作りましょう。楽しい合唱コンクールにしましょう」
本番私は歌った。届くように、届けと願って。
「さよならは悲しい言葉じゃない。それぞれの
夢へと僕らを繋ぐエールいつかまた巡り逢う
そのときまで、忘れはしない誇りよ友よ空へ」
私のクラスはなにも取れなかった。
声が枯れるまで 練習したこの思い出は中学生で
一番の思い出だ。誇り高い、私の中で何よりも
輝く素敵な思い出だ。
私はこの曲を一生忘れない。忘れたくない。
10/21/2024, 12:11:09 PM