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『真夜中』


灯りは消え、村人たちが眠る時。
我らが眠りから覚める。
紅き目を光らせ、今宵の生贄を選びに──。

…なんてね。
そんなおどろおどろしいものじゃない。

私達…人間が言うところの吸血鬼は
長い年月を経て人間と共に生活することを許された。
「人間を食糧としない」という約束をして。

吸血鬼は人工的に作られた血液でも栄養としては足りる。
人間がこの血液を作り出し定期的に私達にくれる事で
この村は人間と吸血鬼の共存を実現していた。

だけど、やっぱりたまに生きた人間の血を吸いたくなるときがある。
それは私が若いからっていうのもあるけどね。

だからね、
真夜中にこっそりと民家に忍び込み
バレないように私は人間から血をもらっている。

もちろん、死なない程度に。


「さてと、今日は誰から血を貰おうかな」

5/17/2023, 11:52:14 AM