「このクソ街から出て行けるとはなんと喜ばしいことだ、ははは!」
"もうこんなクソ街、早く出て行きたかった"
小学3年生の頃、この街はつまらないなと気づき、そう思いはじめてから早9年。
この街には人も少なけりゃ交通整備も整えられておらず、あることと言えば夜に鳴くカエルの鳴き声、くらいか。
とまあ、そんなクソ街で育った俺は大学へ通うことになり東京へ上京することが決まっていた。両親に伝えた時は、最初は驚いていたが、「あなたの信じる道ならそれでいいんじゃない?」と言ってくれた。
これで心置きなく東京ライフが送れるぜ!
途端、何故だかすごくさみしい気持ちが溢れ出した。なぜだ?こんなクソ街、いいところなんて1つも__
____いや、あった。ある。
うっとうしいカエルの鳴き声も、好きな子に思いを告げたあの木も、母さんの作った美味しいご飯を、家族揃って食べたのも、
全部全部。
そして、街から離れる当日。両親は空港まで着いていくと言ってくれた。
そんな俺は、母さんと親父に言ったんだ。
「…母さん、親父。俺、忙しいからって実家に帰らないつもりなんか、ないからな。安心して家で待っててくれ。それまでは、"またな"」
あなたの街にはどんないいところがありますか?
_2023.6.12「街」
6/11/2023, 12:05:28 PM