Kちゃん

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No.1『ススキ』

母方のおばあちゃん家に
来るのは10年ぶりだった。
最後にここに来たのは私が3歳の時。

おばあちゃん家は、車片道3時間ですっごく遠い
くせに、何も無いド田舎だ。
何も無い田舎にわざわざ行きたくなかった。
だけど、おじいちゃんが怪我したから
おばあちゃんの生活を手伝うために仕方なく来た。

車の中では寝ていたため、ここまでの
道はあまり見ていないが、パッと見た感じ高い建物
もなく、田んぼや畑だらけ。帰りたくなってきた。

私はおばあちゃんの家についてから起こされ、
リュックを持って家に入った。

「お邪魔します」

私の声が家に響く。
ホコリっぽいこの匂いが懐かしい気がした。
リュックを邪魔にならないところに置くと、
お母さんが言った。

「夕飯の支度や、荷物の整理があるし、外で散歩でもしてきたら?」
「そうするよ。」

短い会話を済ませたあと、家から出ようとした。
そしたらおばあちゃんに止められ、

「一緒に行こう」

と言われ、一緒に家を出た。
おばあちゃんと会話をしながら歩いた。
まだ4時くらいなのに日が落ち始めてる。
秋の空は、夕焼けで綺麗なオレンジ色に染まってる。

しばらく歩くと私は、この土地に来てよかったと思った。
そこにはあたり一面を
覆うたくさんのススキがあった。
黄金色でキラキラ輝いて見える。

「懐かしいね。あなたが小さい頃は、よく一緒にここを見るためだけに散歩をしていたよ。覚えているかい?」
「今…思い出したよ。ここは何もない場所じゃなかった…。」
「そうだね。新しい思い出ができたねぇ。」

短い会話も大切な思い出へと化した。
私は、来年も来ようと決意した。

11/11/2024, 9:23:29 AM