絢辻 夕陽

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ある所にナナホシテントウがいました。
そのナナホシの背中まるでは北斗七星の様に美しい模様でした。
周りの虫達からは
「なんだか夜空の模様みたいで素敵ね。」
と言われ嬉し恥ずかしのナナホシでした。
ある日の事、ナナホシはもう一匹のナナホシに出会いました。
そのナナホシの背中はまるで天の川のような素敵な模様でした。
「君の背中もまるで星空みたいだね。」
「そうかな、ちょっと恥ずかしいよ。君の背中もまるで夜空の星みたいだね。」
「みんなからよくそう言われるよ。」
二匹はすぐに仲良くなりました。
七夕の夜の事でした。
ナナホシは夜空を見上げこう言いました。
「僕達もあのお星様みたいになれるかな。」
「なれっこないよ。お星様は遠く高い所にあるんだから。」
「そうかな。空を目指していけばなれるかもしれないよ。」
そう言ってナナホシは空に向かって飛び立ちました。
もう一匹のナナホシもやれやれと言わんばかりに一緒に飛び立ちました。
どれ位飛んだのでしょうか。ナナホシ達は、少し疲れてきました。
「まだまだお星様は遠いね。」
「そうだね。」
「でもだんだんと近づいてきているよ。
さっきよりお星様の輝きが大きくなってきているもん。」
更に飛び始めてから時間が経ちナナホシ達は疲れてきました。
「まだ着かないのかな。お星様に着くのって大変だね。」
「きっと辿り着くさ。」
そしてとうとう疲れ切ったナナホシ達。
「もう限界。僕、もう下に降りて寝るね。」
「わかったよ。僕ももうそろそろ降りるよ。」
そう言ってナナホシ達はお星様になる事を諦めて地上へと降りて行きました。
「お星様にはなれなかったけどとても夜空は綺麗だったね。」
「そうだね。普段あまり夜に飛行する事がなかったから気づかなかったよ。」
「おやすみ。」
「おやすみなさい。」
ナナホシ達はそれぞれの寝床へと戻りました。
その夜、ナナホシ達は夢の中でお星様になった夢を見ました。
お互いに星を見せ合うナナホシ達。
この夢がずっと続けばいいのにと思いました。
目が覚めるとナナホシ達は空の上にいました。
「そっか、僕達夢の通りにお星様になってしまったんだね。」
空に輝く北斗七星と天の川となったナナホシ達は毎年この季節が来る事を楽しみにしました。

「七星七夕物語」

7/7/2024, 12:10:29 PM