狼星

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テーマ:太陽のような #102

「小説家……」
「真くんは小説、好きかい?」
嫌いという訳では無いが、とびきり好きという訳でもない…。僕が反応に困っていると
「あ、困っちゃった? ごめん…」
そう言って謝るラックさん。
「いえ…」
「僕はね、結構好きなんだよ。こうやってお忍びで外に出ると決まって一冊買うんだ。来た記念にという訳でもないんだが…。いつの間にか足が本屋へと向いている」
ラックさんはそういうと微笑む。よっぽど好きなんだなと思う。それにしても……
「お忍びって……」
「あぁ、やっぱり皇族は外に出ることが制限されていてね。さっきいたミデルも、共犯だけどね」
共犯って…。でも皇族夫婦にしては珍しいなと、どこかで思っていたため納得している部分もある。
「ミデルと出会えたのもお忍びで街に来たときだったし!」
そう言うと遠くを見てその時のことを懐かしむように目を細めるラックさん。幸せなんだなぁと思う。ふと、自分が住んでいる世界と比べてしまう。
自分の知っている世界では、暴力したり暴言はいたり、離婚したり虐待したり…。あまり夫婦というものにいいイメージはない。
だからこそ、2人に太陽のような暖かさを感じるのかもしれない。
「あ、時間が迫っている。もう少しで小説家の講演会が始まるんだ。行こう!」
ラックさんは目をキラキラさせていった。初めてあった人なのにこの人に対する抵抗があまりないのは、僕にとって珍しいことだ。
僕は頷き、ラックさんのあとについていった。


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2/22/2023, 11:41:50 AM