六花

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夜になると私は何時も空を見る。
曇り空の時は余り見ないけど。
晴れた日の夜は星が見える。
キラキラと瞬いている。

私が八歳の時に父は死んだ。
母は、『お父さんはお星様になった』と言っていた。
其れが意味する事を分からない歳でも無かった。
十六歳の時、母は死んだ。
過労死だった。
私の為に頑張ってくれているのは知っていた。
でも、死んでしまう程私の為に頑張っていたと思うと、何だか申し訳無かった。

そして、二年前に私の大好きな彼は交通事故で
死んだ。

どうして神様は私から大切な人を奪うのだろうか。

私は今、星を見ている。
彼の好きだった星空を見ている。
母は言っていた。
『死んだらお星様になって、貴方の事を見ているわ』
だから私は星空を見ている。

貴方達が空から私を見ているのなら、
私は星空を見上げている。

でも、私は何時も星空の下で泣いてしまう。
とても大切で、大好きだった人達との思い出が、
星空を見ていると勝手に蘇ってくる。

私は今日も星空の下で泣いている。
「もっと一緒に居たかった....。」
私の声は夜風と共に消えていった。


お題〚星空の下で〛

4/5/2023, 11:28:22 AM