秋の夜長に狐がとおる。最近月を見上げることは減ったけど、秋口の満月の日はなんとなく庭先の網戸を開けたくなる。雲ひとつない夜空に、立派な満月がぷかりと浮かんでいると心なしか幻想的な気分になる。酒と少々のつまみを持って縁側に腰掛ける。ふとがさり、と庭藪から音がする。おそらくは出てこないであろうが、腹を空かせて狐でもやってきたのだろうか。私はつまみの肉を少し取り出し、茂みへと投げる。穏やかな秋月夜が導いた出会いに、思わず空を仰ぐ。
9/27/2023, 3:20:51 AM